交流の場として
宇宿の町を盛り上げる

時の旅喫茶室/まちの駅宇宿                               うすき

2024.12.17
鹿児島県鹿児島市

交流の場として

宇宿の町を盛り上げる

鹿児島市の中心部から車で約20分。JR宇宿駅周辺から旧国道まで続く宇宿本通りは宇宿商店街と呼ばれ、さまざまなお店が軒を連ねています。近年、全国で商店街の空き店舗が問題となっている中で、宇宿商店街は昔と変わらず賑やかさを保ち、最近では鹿児島市内で若者の住みたい町として名前が挙がるほど注目を集めています。この商店街のほぼ中心にある時の旅喫茶室/まちの駅宇宿は、地元の人たちの憩いの場としてカフェやランチを提供しています。一方で、宇宿を盛り上げるために喫茶スペースを使ったイベントも開催。宇宿の情報を発信し案内役を担うまちの駅として、来訪客との交流を生み出しています。
そもそも、まちの駅とはどういったものなのでしょうか。まちを訪れる人にトイレや休憩場所を提供し、観光案内などの交流を図ることを目的としたもので、全国に1,300カ所ほど登録されています。機能としては道の駅とほぼ変わりなく、基準を満たしていれば民間の施設でもまちの駅になることができます。公的な建物と違い場所を選ばないため、商売の傍らで商店や飲食店がその役割を担っているケースが多くあります。まちの駅宇宿もカフェを運営しながら、交流拠点として地元の人たちだけでなく多くの来訪客を受け入れています。店内のフリースペースには、地元に関わりのあるアーティストの作品を展示・販売し、文化の発信地として若者を呼び込んでいます。そうすることで世代や性別、住んでいる地域に関係なく交流が図れる雰囲気を生み出しているのです。
まちの駅は、休憩場所や案内所のように地元の人以外を呼び込むためのものと思われがちですが、他のコミュニティとの接点を生み出し、地元を盛り上げることにも貢献しています。時の旅喫茶室のフリースペースでは、鹿児島県内のまちの駅が扱う物産品の販売も行っています。特に人気の商品が枕崎のまちの駅で扱っている「まるた屋だし」で、枕崎産の鰹節を使った本格出汁を手軽に味わうことができます。こうしたコミュニティ同士の交流は年々盛んになっていて、まちの駅の縁でつながった錦江町の産直マーケットを宇宿で開催した際には大いに盛り上がりました。串木野市の業者を呼んで冷凍マグロの解体ショーを行う計画も進んでおり、ネットワークを生かして地元の人たちも楽しめるイベントがまちに活気を生んでいます。
まちの駅宇宿は、商店街と連携したイベントにも積極的に参加しています。年末には、近隣のお店や商工会議所、金融機関から90名以上の人が集まり宇宿商店街の大忘年会が行われ、炊き込みご飯と豚汁を振る舞い、地域の一体感を高めることに一役買いました。最近では、宇宿のまちづくりに賛同する人が増え、時の旅喫茶室を利用して自分たちの好きなことを発表する講習会も行われています。元音楽教諭による蓄音機、さつま琵琶の講習や大学教授の古文書解読講座、中には吉田拓郎研究会といった知己に富んだ勉強会を行い、回を追うごとに参加者が増えています。「宇宿を明るくするために自分たちにできることは何かを、みんなで考えることがまちづくりにつながっています」とまちの駅宇宿の常任理事、河井達志さんは話します。宇宿を楽しいまちにしていくため、今日もさまざまな出会いと交流の場を提供しています。

時の旅喫茶室/まちの駅宇宿                               うすき

電話番号 050-8892-7166/時の旅喫茶室
099-257-9690/まちの駅宇宿
住所 鹿児島県鹿児島市宇宿3丁目2番1号
営業時間 11:30〜17:00
定休日 不定休
リンク @tokinotabi_kissashitsu