ウッドターニングで
一点ものの木工作品を世に放つ

CRATE

2026.05.18
鹿児島県日置市

ウッドターニングで

一点ものの木工作品を世に放つ

「ウッドターナー」という言葉をご存知でしょうか。木工旋盤という機械で木を回転させながら刃物で削り出す「ウッドターニング」という技法を用い、作品を生み出す木工のエキスパートを指します。日本ではまだ馴染みが薄い職業ですが、欧米では盛んで世界的に活躍する作家も少なくありません。「CRATE(クレイト)」の盛永省二さんは、数少ない日本のウッドターナーの一人です。日置市のロードサイドにある工房で、木の塊からスツール(背もたれや肘掛けのない椅子)やウッドボウルといった作品を生み出し、多くの人に木の温もりを届けています。
もともと大工や家具工場で木工製品づくりの経験を積んできた盛永さんは、技術を磨く中で「図面に描かれたものだけでなく、自分の発想を形にした作品を作りたい」という思いが強くなっていったと言います。独立して現在の工房を立ち上げたのは約18年前です。屋号の「CRATE」は、作品を多くの人に届けたいという願いから、輸送用の木箱が名称に由来しています。独立当初は、収納家具やテーブルといった特注家具を中心に製作していましたが、大型で配送が難しいこともあり、現在は一人でも持ち運べるスツールやウッドボウルの製作にシフトしました。暮らしに身近な作品を生み出すことで、周囲からの評価を集めています。
盛永さんの作品の魅力は、木の風合いを生かした造形と思わず触れたくなる滑らかな質感にあります。材料の多くは、自ら製材所へ足を運び、選び抜いた丸太や木材です。材料選びの工程を盛永さんは、「宝探し」と表現します。曲がりや節といった一見すると価値を持たないと思われがちな木材にも目を向け、その可能性を自らの作品で昇華させていきます。削り出された作品は、まるで新たな息吹を吹き込まれたかのように、唯一無二の表情を浮かべます。入念にヤスリで仕上げられた作品からは木の温もりが伝わり、その滑らかな肌触りが、新たなファンを生み出しています。
東京を中心に年に数回の個展を開催しています。出品された作品はほぼ完売し、名前だけで人を呼ぶほど、コアなファンも増えています。すでに2年先まで個展の予定が埋まる中、盛永さんは新たな挑戦を見据えています。それは、オブジェと呼べるような大作の製作です。独立間もない頃、単身でアメリカに渡り、著名なウッドターナーに師事しました。半年という短い期間ですが、表現の幅を学んだことが今の礎になっています。それから技術を磨き続けてきましたが、「今なら、造形そのもので空間を表現できる作品が作れるかもしれない」という思いが、新たな一歩を後押ししています。 「すべてを実験と思う––––」。これは、芸術家で教育者でもあったシスター・コリータさんの言葉です。盛永さんはこの教えを胸に、日々木材と向き合い続けています。素材の個性と向き合いながら暮らしに寄り添う作品を生み出す先に、自らの代表作と呼べる一作が生まれる日も、そう遠くないかもしれません。

CRATE

電話番号
住所 鹿児島県日置市東市来町長里2558-3
営業時間 10:00〜18:00(L.O.17:00)
定休日 不定休
U R L https://f614311.gorp.jp/